隠された経済的原理の進行
(経済学の哲学的、数学的展開)

― リーマン・ショックの必然性と継続する経済原理
私のケインズ、フリードマン、ブラック&ショールズ、そして老師 ―

目次

はじめに ーーi

第1部

Ⅰ 「第一の提起、資本主義の一般的法則と利潤獲得の歴史的推移」 ーー1
「第二の問題提示」<「F:RM→P(物価)の簡単な思考実験> ーー3

第Ⅰ篇 貨幣と紙幣価値について ーー8

[Ⅰ]紙幣の度量標準の変更と経済水準 ーー8
(FRBとそれに続く日銀の「異次元の通貨供給」について) ーー8
(1)諸商品同士の話し合い ーー9
1.金の選出と紙幣の度量標準 ーー10
2.ドル(米紙幣)と金との交換停止=変動相場制 ーー13
(2)フィッシャー貨幣数量方程式からの考察 ーー14
1.不兌換紙幣の減価のポテンシャルと恐慌、不況の社会関係の強力な反対方向ポテンシャル ーー14
2.不換紙幣と必要流通量の定義 ーー15
3.ケインズの利子論とヒッグスらのIS曲線 ーー20
4.利潤率の上下に対応する更新投資と新投資 ーー24

第Ⅱ篇 ケインズ主義と「失われた20年」―ケインズへの尊敬と批判的検討 28

(日本の失われた20年) ーー28
[1]ケインズ理論の原理論批判(注1) ーー29
(1)逆関数Z=φ¯(N)はセイの法則 ーー32
(2)セイの法則の仮説の検討 ーー33
(3)セイの法則とケインズの完全雇用論とが成立不可能の理由 ーー38
(4)ケインズ主義と戦時経済 ーー40
ⅰ)第二のアイデアの不成立の証明 ーー40
ⅱ)「セイの法則とケインズの完全雇用論とが成立不可能の理由」の再確認 ーー42
ⅲ)戦時経済 ーー42
[2]ケインズの理論とケインズ主義は恐慌を解決するか ーー44
(1)国民所得の循環拡大論と価値法則 ーー44
(2)現金残高方程式(ケンブリッジ方程式)M=k・P・Y ーー45
1)マーシャルのkの定義と有効需要論 ーー45
2)資本の利潤予想の拡大にもとづく限界効率の崩壊 ーー47
3)利子率に対する投資反応と擬似相関 ーー48
[3]固定資本論と恐慌 ーー49
<1>資本と総資本の歴史性、社会の歴史性 ーー49
<2>固定資本論と再生産と恐慌 ーー50
<3>社会的生産部門 ーー59
<4>GDP表示 ーー63
<5>ケインズ主義の破綻 ーー68
[4]ケインズの利子率に対する投資反応論は、資本主義の法則たりえるか。 ーー72
(「貨幣選好 (流動性選好論)」にもとづく利子率論と利子率による投資反応論) ーー72
[5]バブルの破綻とケインズ主義 ーー82
[6]ケインズ主義と雇用 ーー87
(1)ケインズの雇用論 ーー87
(絶対的剰余価値の時代)と(労働の装備率の発展 労働集約率、知識集約率) ーー87
(2)ケインズ経済学への「親近感―労働力の再生産」 ーー91
1.ケインズ主義から自然律喪失のフリードマン経済学(底のない非均衡経済)へ ーー91
2.イノベーションと教育の機会均等(無償化) ーー92
3.国家・「国民の共同事務」と高度な累進課税 ーー93
[7]フィリップ曲線の変容からみた賃金、失業 ーー95
(1)フィリップ曲線 ーー95
(2)統計的相関 ーー97
(3)新自由主義のフリードマンの「自然失業率への収斂」仮説の実現 ーー99

第Ⅲ編 利潤率の傾向的低下と利潤量増大との「相補性の破れ」(とくに利潤率の傾向的低下と金融) ーー101

<1>恐慌の究極的要因―賃金率が理念的独立変数へ ーー101
(1)価値法則は賃労働の一般化(労働力の商品化)の基礎の上で普遍法則となる ーー101
(2)歴史性=利潤率低下の傾向的法則 ーー102
(3)「利潤率低下と利潤量増大との『相補関係)』の破れ ーー104
(4)資本主義の原理の確認 ーー107
<2>交換方程式と残高方程式との対応 ーー108
(1)アヴィング・フィッシャーの交換方程式 ーー108
(2)交換方程式から残高方程式へ ーー111
(マーシャルkは、利潤率と新投資に依存) ーー111
「マーシャルKのまとめ」(第2部の測度論からの景気循環Ktに移行のために) ーー113
<3>恐慌の究極的要因としての賃金率 ーー117
[1]貨幣量(流動性)の増減とマーシャルkおよび実体経済Y ーー117
(1)ケンブリッジ方程式の解釈 ーー117
(2)貨幣商品とプリンティング紙幣 ーー122
(3)生産過程と2つの流通過程、および資本市場 ーー128

第Ⅳ編 マネタリズム批判 ーー131

<1>生産資本の回転と擬制資本の流通加速度ついて ーー131
[1]シカゴ学派であるM・フリードマンに代表されるマネタリストの考え ーー131
(1)新「貨幣数量説」(第一の論点) ーー131
(2)マネタリズムと恐慌論(第二の論点) ーー133
[2]マネタリズムもどき論者の貨幣量増による実質GDP拡大論 ーー136
(1)P1→P2(ただし、P1<P2)ならばY1<Y2とは事実と論理の架空的飛躍 ーー136
(2)外部からの紙幣増減と利潤率 ーー138
(3)M(T)=Tは動かない不動点か?(Mは恒等写像か?) ーー140
(4)投機の生産への寄与 ーー145
(5)貨幣選好kを使っての局面―ケインズの利子率の有効性と限界 ーー150
(6)生産資本の回転と擬制資本の流通加速度について―(まとめ) ーー152
(7)低位景気循環と「自然失業率」の実現 ーー156
[第1部おわりに際しての2018加筆分] ーー161
(1)リーマン後の世界 ーー161
(2)既成秩序の崩壊過程(一国主義の台頭) ーー163

第2部 ーー167

第Ⅰ篇 擬制資本論 ーー167

[1]流動性選好論による利子率論 ーー168
(1)取引需要M1(活動資金)と投機的需要M2 (資産需要)および投機 ーー168
(2)債券価格と利回りとの矛盾運動 ーー169
(3)利潤率低下の法則下の債権と紙幣供給との矛盾運動 ーー171
(4)信用と実物経済の二重性の破綻 ーー174
[2]利子率の絶対的基礎(源泉)と相対的側面―利子率の相対的側面の崩壊と絶対的基礎(源泉) ーー176
(1)利潤率の低下とリーマン・ショック ーー176
(2)「設備投資と実質金利の関係式」―利子率の変動と産業投資 ーー179
[3]利潤率と利潤量との「相補関係の破れ」と反作用 ーー180
<1>利潤率低下のもとでの擬制資本と超過利潤 ーー180
1.現実資本と株主 ーー181
2.平均利潤率、景気循環、恐慌と擬制資本 1ーー83
<2> 利潤率の傾向的低下の法則とグローバル化(超過利潤獲得競争) ーー186
1.利潤率の傾向的低下の法則と反作用の動因 ーー186
2.超過利潤1 ーー189
3.超過利潤2 対外債務による再生産国と超過利潤 ーー190
<3>擬制資本3―国債(膨大な国債発行と天文学的通貨供給―利子率0近傍の世界) ーー192
[4]M&S理論の破綻と擬制資本変動論 ーー194
<ⅰ>コモディティと株価 ーー195
1)交換過程 ーー195
2)価値と価格との背離 ーー196
3)歴史性と株価の変動 ーー198
4)擬制資本の価格の雲 ーー200
<ⅱ>アインシュタインの「ブラウン運動」からの「B&Sの偏微分方程式」批判 ーー203
Ⅰ)アインシュタインの「ブラウン運動」 ーー203
Ⅱ) アインシュタインのブラウン運動と「B&S方程式」 ーー204
(ⅰ) B&Sのロジック、レトリックの誤り――株価「dS(t)/S=μdt+σdz」は根拠のないもの ーー208
(ⅱ)B&Sには経済的根拠がない ーー209
(ⅲ)しかも 無相関でなければならないウィナー過程を適用するのは理論上無理 ーー210
(ⅳ)[ポートフォリオのG(t)の利得が(15-10式)のfによる利得と同じようにしたい。]という「B&S理論」の自己資金充足的「要請」について ーー213
(ⅴ)原理でない「B&S方程式」は激動には無力 ーー214
(ⅵ)アインシュタインの関係式からの批判 ーー216
(ⅶ)「アインシュタインの関係」 ーー216
[5] 価値法則への反映的な株価の収束と市場合理性仮説終焉 ーー218
ⅰ)根本法則と派生法則 ーー218
ⅱ)株価の変動のいくつかの事項要因とベイズの定理、推論的試行 ーー218
ⅲ)大恐慌への移行の数学的考察―価値法則への反映的な株価の収束(ラドン・ニコディム定理の密度変化率と景気循環) ーー223
Ⅳ)景気循環と株価の予測分布とエントロピー ーー231
Ⅴ)利潤率低下と利潤量の増大との相補性の破れと株価 ーー234
[6]確率論的形式と社会の同値関係の破れ ーー241
<1>「広義流動性」における同値関係と擬似的マルコフ連鎖 ーー241
<2>境界条件と中央銀行の紙幣発行の任意性 ーー244
<3>確率論的形式と社会変動 ーー245
(1)確率論的形式からみた社会・自然の均衡条件の破れ ーー245
(2)歴史的段階と人間的再生産との軋轢 ーー247

第Ⅱ篇  M1とM2との分岐の発展と制御不可能性の増大 ーー249

[1]貨幣飢饉と「最後の貸手」 ーー249
(1)M1(活動貨幣)とM2(不活動貨幣)との区分 ーー249
(2)貨幣の所得速度と投機貨幣速度 ーー250
(3)投機貨幣の収益 ーー250
(4)貨幣飢饉と「最後の貸手」中央銀行 ーー252
(5)マージンコールと貨幣飢饉 ーー253
[2]相転移と相補性間の相互作用 ーー256
[3]ヴィクセルの物価水準の累積的運動の検討 ーー258
(1)「自然利子率」の登場 ーー258
(2)ヴィクセルの物価水準の累積的運動とは ーー260
(ヴィクセルの物価水準の累積的運動) ーー260
(3)サマーズ元米財務長官の長期停滞論 ーー267
1) 「自然利子率」、それはそもそも存在するのか。その正体は何者か。 ーー268
(4) 自由主義の「繁栄」期でも平均利潤率が非常に低い ーー270
<ここまでのまとめ> ーー271
(1)労働力の商品化(賃労働の一般化)と資本主義の原理 ーー271
(2)利潤量の増大と利潤率低下の傾向的法則 ーー272
(3)利潤率低下に反作用 ーー272
(4)「利潤率低下と利潤量増大との『相補性』の破れ ーー273
(5)国際的資本移動 ーー274
(6)平衡運動から非平衡運動へ―労働力再生産費という境界条件 ーー274

第Ⅲ篇 利潤率傾向的低下と利潤量増大との相補性の破れの世界と貨幣論 ーー276

[Ⅰ] 両替商(BANK)と貯蓄銀行による信用創造 ーー276
(1)貨幣商品・金とBANKについて ーー276
[Ⅱ] 信用の発達によって、貨幣商品の供給による制限を克服 ーー277
[1]金融に対する制御不能の進行と民間銀行の貨幣的基礎の脆弱化 ーー277
[2]変動相場制とマネーサプライ ーー280
(1) 商取引で必要とされる規模以上に紙幣の膨大な増加 ーー280
(2) 信用経済とマネーサプライ ーー281
(3)「マネーサプライの歴史的推移」 ーー283
(4)「マーシャルkと可測関数のKt」とMi ーー285
(マーシャルkの再確認) ーー287
(貨幣選好) ーー287
(可測関数のKtとマーシャルk) ーー288
(5)為替 ーー289
(6)中央銀行資産の巨大擬制資本化とデフォルトの潜在的可能性 ーー291
(通貨発行益(シニョリッジ)による擬制資本高騰形成) ーー291
(国家信用の喪失危機と紙幣の無制限発行機能) ーー292
(「銀行信用の半喪失の可能性」の次段階) ーー293
(1)銀行券の発行量と金融政策 ーー294
(2)利潤率の低下と利潤量増との相補関係の世界的な破れ ーー296
(3)超低金利状態とデフォルトの危機 ーー298
[Ⅲ] アメリカ・ドルの支払い機能としての無制限の権能 ーー299
[1] チープ・マネー(cheap money)の天文学的増加 ーー299
[2] 為替変動と「支払いの良好な基準」 ーー302
(1)為替相場の驚愕的な不均衡 ーー302
(2)支払いと受取人との矛盾-国際決済為替 ーー303
[Ⅳ]世界、EU、日本のcheap money―組織された資本主義から無秩序の資本主義へ ーー304
(1)cheap money policyと既成秩序の崩壊 ーー305
[補論Ⅰ]経済、政治、軍事的対立と貿易圏、金融のブロック化 ーー309
(1)リーマン・ショックと最後の貸し手、中央銀行 ーー309
(2)米借金証書の天文学的累積と金の極端な偏在による突然の危機 ーー309
(3)貿易圏と金融ブロック化と経済的、政治軍事的対立 ーー311
[補論Ⅱ]ハイエック貨幣発行自由化論 ーー313
(ハイエック貨幣発行自由化論とビットコイン) ーー314
(仮想流通手段?ビットコイン) ーー314
(労働価値説と仮想通貨・ビットコイン) ーー315
(仮想通貨の追加項)(2018年8月22日追加) ーー316
[付録Ⅰ] ーー319
<ランダムウォークと架作された「B&S方程式」の計算形式> ーー319
(引用文献 参考文献) ーー334